東京大学がんプロフェッショナル養成プラン

合同セミナーを開催します『Aneuploidyを標的としたがん治療戦略』(東京大学2018年8月1日)

Aneuploidyを標的としたがん治療戦略

 

川上 正敬

Instructor

MD Anderson Cancer Center, Department of Thoracic/Head and Neck Medical Oncology

 

がん細胞はしばしば過剰中心体を持ち、細胞分裂時の染色体分離異常により、がんのhallmarkの一つである染色体の数的/質的異常(aneuploidy)を引き起こす。aneuploidyは細胞増殖促進や外的ストレスに対する耐性の獲得など細胞に有利な変化をもたらす一方で、過度な染色体異常は細胞生存に有害となりうる。我々は肺癌細胞においてCDK1/CDK2阻害により、細胞分裂の際に過剰中心体の二極への収束が阻害され、細胞の多極分裂とそれに伴う染色体分離異常を経て娘細胞にアポトーシスが誘導されることを明らかにし、これをanaphase catastropheと名付けた。anaphase catastropheは過剰中心体を持たない正常細胞では回避され、その誘導はがんに特異的な治療戦略として期待される。CDK1/CDK2阻害によるanaphase catastropheの誘導は、膵癌、大腸癌、リンパ腫など肺癌以外のがん細胞でも確認された。本セミナーではanaphase catastropheのこれまでにわかっている分子的メカニズムを概説し、また、spindle assembly checkpoint 阻害薬や、過剰中心体を引き起こすPLK4阻害薬など、染色体分離異常/aneuploidyを標的とするその他の薬剤のpreclinical dataも紹介しながら、がんの新たな治療戦略としての可能性について考察する。

2018/07/03